予防接種により防ぐことができる病気があります。残念ながら日本では予防接種にかかる費用は自治体によって違い、また回数によっても違うため、たいへん複雑な制度となっています。さらに頻繁に改正されるために混乱を招いており、とくに子育て世代にとっては度重なる制度の変更が大きな負担となっています。そこで、みなさまの少しでもお役に立てるように、当院での予防接種に対する考え方と費用をまとめました。
令和元年10月1日より、消費税増税に伴い一部価格を変更しました。掲載した金額は当院での価格です。
また、掲載した価格もワクチンの供給状態によって変動することがあります。
ご理解とご協力をお願いします。
四種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳、不活化ポリオ)、二種混合、日本脳炎、麻疹(はしか)、風疹(三日はしか)、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、ロタウイルス感染症、肺炎球菌感染症、インフルエンザ菌感染症(ヒブワクチン)、ポリオ(不活化ワクチン)、ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸癌ワクチン)、狂犬病
尾張旭市、瀬戸市にお住まいの方は、公費で予防接種できます。(対象疾患のみ)
予防接種を希望されるときは、電話での予約をお願いします。
電話052(769)1230
通常は、予約してから接種までに1週間ほどかかります。
【問い】 | 予防接種は必要ですか。 |
【答え】 | 必要です。自然感染による免疫の方が、予防接種よりも優れている場合はありますが、自然感染は高率に重大な合併症を引き起こします。 例えば成人になってから水痘(みずぼうそう)に初感染した場合、重症肺炎を併発することがあります。 小児や成人にかかわらず、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は難聴の障害が残ることがあり、成人では精巣炎や卵巣炎の原因となります。 インフルエンザ菌(ヒブ)による感染は脳に障害を残します。このような重大な合併症を予防接種によって高い確率で防ぐことができます。 |
【問い】 | 予防接種は危険ですか。 |
【答え】 | あらゆる予防接種は合併症を引き起こす可能性があります。 しかしながら、ほとんどの場合は少しの発熱や注射部位の発赤などの軽いものです。 ワクチンによっては一時的な頭痛、めまい、全身倦怠感や食欲不振を感じることがありますが、けいれんや重篤なアレルギー反応が起きることはきわめてまれです。 これらの重度の合併症には確かに注意が必要ですが、予防接種により防ぐことができる病気の合併症に比べれば、はるかに安全といえます。 |
令和元年10月1日からの当院における価格を掲載します。こちらに掲載されていないものについてはお問い合わせ下さい。いずれも1回接種分の価格です。
ワクチン | 価格(税込み、円) |
おたふくかぜ | 5,500 |
B型肝炎 | 4,900 |
風疹 | 5,400 |
麻疹風疹混合(MR) | 8,800 |
A型肝炎 | 7,400 |
日本脳炎 | 6,000 |
狂犬病 | 12,600 |
水痘 | 7,400 |
平成30年(2018年1月1日から2018年12月31日まで)の当院での予防接種実績です。
予防接種 | のべ回数 |
B型肝炎 | 88 |
MR(麻疹風しん混合) | 105 |
日本脳炎 | 169 |
ヒブ | 83 |
小児肺炎球菌 | 83 |
四種混合 | 84 |
ロタウイルス | 35 |
二種混合DT | 33 |
水痘 | 53 |
おたふくかぜ | 34 |
風疹 | 17 |
A型肝炎 | 12 |
肺炎球菌成人用 | 54 |
狂犬病 | 8 |
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに対するワクチンです。平成28年4月以降に出生した子供は定期接種の対象となるため、10月1日より公費で予防接種ができる予定です。平成28年3月以前に出生している方は、公費の対象となっておらず、自費での接種になります。まだお済みでない方は、なるべく早めに接種をお願いします。免疫獲得のためには初回、1か月後、半年後の3回接種が必要です。
麻疹風疹混合ワクチン
麻疹(はしか)と風疹(三日ばしか)のワクチンを混合して一本の製剤にしたものです。公費の対象の予防接種です。尾張旭市または瀬戸市にお住まいの方は、公費で接種できます。そのほかの地域にお住まいの方は、自費での接種となります。1歳から2歳未満の時期に1回目、小学校就学前一年間(年長児)に2回目を接種します(注1)。この時期以外は公費で接種できません。
(注1)正確な期間は、5歳以上7歳未満の者であって小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間です。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)
おたふくかぜの原因となるムンプスウイルスに対するワクチンです。公費助成の対象となっていないため、自費での接種となります。1回の接種では効果が不十分なことも多いため、2回接種を推奨しています。接種時期は麻疹風疹混合と同時期(1歳時期と年長児相当の時期)が望ましいです。
日本脳炎
日本脳炎は、感染したブタから蚊が媒介することによりヒトに感染する病気です。現在では予防接種の徹底により、国内では年間数人程度の発症に抑えられていますが、感染源となるブタでは今でも多くの感染がみられ、ワクチンによる予防が重要な病気です。また、東アジア・東南アジア地域では、まだまだ流行が診られる病気です。3歳以降に合計4回の接種を行います。平成17年から21年まで予防接種の副作用により、積極的な接種が控えられていた時期もありましたが、いまでは撤回され、積極的な接種が推奨されています。
麻疹風疹混合ワクチン・風疹ワクチン
麻疹(はしか)と風疹(三日ばしか)のワクチンを混合して一本の製剤にしたものです。平成25年7月より愛知県から一部助成金が出るようになりました。詳しくはお住まいの地域を担当する保健所にお問い合わせ下さい。
また、現在、妊娠している女性は接種できません。
昭和37年度~昭和53年度生まれの男性の皆様へ
令和元年5月より、厚生労働省から上記年度生まれの男性に、風疹抗体価の無料検査クーポンを順次配布しております。当院でも検査可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
よくある質問(成人の麻疹・風疹のワクチンについて)
【問い】 | 風疹あるいは麻疹にかかったかどうかよくわからない。予防接種をしたがどうかわからない。 |
【答え】 | 抗体検査をおすすめします。抗体を検査することにより、過去の感染または予防接種歴がわかります。十分に抗体があれば追加の予防接種は不要と考えられます。 |
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに対するワクチンです。助成金の対象となっておらず、自費での接種になります。免疫獲得のためには初回、1か月後、半年後の3回接種が必要です。
狂犬病
狂犬病は発症すると死亡率ほぼ100%というたいへんに恐ろしい病気です。動物に咬まれることによって感染します。ヒト、イヌだけでなく、ネコ、ネズミ、家畜なども含めてすべての哺乳類が感染します。発症すると治療法はありませんが、ワクチンによって予防することができます。日本においては過去数十年間国内発症例がなく、数年前に海外で感染した例があるだけです。国内で生活する限りは予防接種の必要はありません。しかし、世界全体で見ると、いまでも年間およそ5万人の死亡数があります。
狂犬病発生国で長期滞在したり、野生動物と接触するような機会がある場合は、予防接種をお勧めします。動物に咬まれる前に行う予防接種の場合、初回、1か月後、半年後の3回の接種を行います。
また、危険動物に咬まれた後に発症予防のための接種をすることがあります。詳しくは当院にお問い合わせ下さい。通常は在庫をおいていないため、連絡をいただいてから取り寄せまでに約1週間かかります。
A型肝炎
A型肝炎はA型肝炎ウイルスによる感染症です。世界中に分布しており、汚染された水や食事から感染します。特に海水中では長期間毒性を維持するのが特徴です。発生は衛生環境の影響を受けやすく、上下水道が整備された国では流行することはまれです。日本国内では現在では年間数百例程度の発生にとどまっています。
小児では軽症の肝炎でおさまることがほとんどですが、年齢が高くなるほど重症化しやすく、50代以降では死亡率が数パーセントほどあります。海外では発展途上国を中心に今もなお流行が見られる疾患であり、これらの地域へ渡航される方は、予防接種をすることが勧められています。予防接種は初回、1か月後、6か月後の3回接種です。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに対するワクチンです。免疫獲得のためには初回、1か月後、半年後の3回接種が必要です。
成人用三種混合ワクチン
一部の国では百日咳の予防を目的として、入国者に成人用三種混合ワクチンの接種を求めることがあります。しかしながら、このワクチンは日本国内で認可されておらず、接種が必要な場合は海外からの個別輸入が必要になります。日本でよく使われていた小児用三種混合ワクチンとは別のものです。当院では取り扱っていないため接種はできません。小児用三種混合ワクチンを成人に接種することは、副作用が強くなりすぎるため推奨されていません。